人気ブログランキング | 話題のタグを見る
「子供のためのコンテンツをつくること」          cooma.exblog.jp

言葉と文化
by radiodays_coma13
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
携帯電話の可能性
 おっきなお仕事がひとつおわった。たくさんの打ち合わせとたくさんの徹夜をして、たくさんのわら人形をこしらえた。ワールドカップ関連のお仕事なのだけれど、「もうすぐワールドカップ」とTVで聴く度にチャンネルを変え「ぐ~ちょこらんたんの時間だよ」と現実逃避をした。でも、なんとかなるものだ。本当になんとかなったのかは置いておいて、わりと満足している。満足の理由は、それがとても新しいサービスだからだ。誰かから、鞭打たれでもしない限り、そんな面倒くさいこと好き好んでしないだろうというお仕事だ。あたまがきゅ~っと伸びてねじくれて、毎晩ほどけなくなる夢を見てうなされた。

 僕はプログラマーではない。でも、人の人生は本当に不思議なもので、気が付いたら、自分では思っても見なかったところにいる。ただ、携帯という活きた技術を使って何かしてみたかった。文字や音声や映像を含めた「言葉」のさきっちょのところで仕事がしたかった。未来の言葉を夢見た僕にとって、誰もが手軽に持ち歩け、通信が出来、声や映像や文字という情報を双方向に自由にやり取りできる携帯電話は宝箱だった。でも、僕が携帯に興味を持った頃は、携帯の世界はメールが中心で、サイトと言っても、文字だけのシンプルなものであった。それは非常に使い勝手が悪く、まだまだやりたいことなんて出来ないだろうなとたかをくくっていた。

 しかし、あっと言う間に携帯は進化してしまった。4年前、携帯で「FLASH」というアプリケーションが使えるようになるときいた時、すぐさま、携帯業界に飛び込んだ。そこからはジェットコースターのような毎日。毎週届く、新しい技術の仕様書を片っ端からめくり、毎日届く無茶な要望との格闘。4年前には携帯の世界にデザインの仕事なんてなかった。いや、あったんだけどその地位は、奴隷並みだった。待ち受け画像、一日5000千枚とか、写真の加工レイアウト一日1000枚、ドット絵一日100個とか、まるで餃子の王将の広告並みな過酷な労働だった。

 しかし、目当てのFlashは使わせてもらえなかった。というかその可能性を理解してもらえなかったのだ。出す企画書出す企画書ボツにされ、「里宗の企画書はセピア色」という社内の流行語まで産み出した。しかし、僕は営業でも企画でもない。ただ、やりたいこと、言葉の世界の最先端にいたいのだー!というスピリッツでRADIODAY時代の企画書やら作品やら論文やらを持ち歩いて、ここまできたのだ。ここで引き下がると男がすたるわよっ!失礼しちゃうわ。と食い下がった。ある時、転機はきた。「阪神タイガース」の動画やFLASHなどコンテンツの企画に関わり、社内からは企画書にダメ出しの嵐の中、阪神側との本会議に自分の作った作品を会社に内緒で持ち込んだ。「みやがれ、これが本場チェコスロバキア仕込みのモーションタイポグラフィだ!」と息巻いた。見事、企画は通過した。

 その時を期に社内にデザインチームを発足し、好き放題させてもらっている。もう、デザインは平面の時代ではない。情報は文字と音声と映像のよりインタラクティブで動的な表現に移行してゆく。ユーザーのアクションにより変化してゆく情報。階層化された立体的な情報に対応したインターフェース。一方的に与えるのではなく、たくさんの入り口をもった対話するデザイン。情報を生成し編集するのは他ならぬユーザーである。それらをよりダイナミックに実現させるには携帯しかない。とかなんとか言いながら、正直、携帯電話は好きではない。でも、携帯電話の可能性にかけたいと思う。携帯電話が嫌いじゃなくなるように。

 結局、僕は企画者としては未だ屁たれ並みだ。しかし、作り手としての生産能力には自信がある。いや、ない。ビジョンだけがある。多分、これで十分なんだと思う。ものつくりの世界はやったもの勝ちの世界だと言われる。けれど、少し違うと思うな。どこまで細かくビジョンを持てるかじゃないかしら。その仕組みや、質感やその周辺、それらを細かく描いているうちに、必ず形になる。でもだいたいの場合は空想で終わる。中途半端な空想だから行動に移せないのだ。幸いまだまだビジョンはある。昔から思い描いていた動くデザインの世界を実現できる道具をやっと時代が手に入れたのだ。プログラムごときで怖気づいてたまりますかってんだ。僕がプログラムをしているときいて信じられないっていう失礼な人が多いけれど、わたし負けない。エースを狙うの!
携帯電話の可能性_c0045997_15373668.jpg
 もし、万が一、興味が出た!いっちょう見てやろうかと思った方は、Docomo、AU、Vodaで公式サービスを行っている「欧州サッカー通信」というサイトをご覧になってください。そこの「試合結果Flash」が今回の話に出てくるサービスです。
by radiodays_coma13 | 2006-06-11 15:40 | 文字について
<< 誰にでも爆発するときはある 兵隊さんはかわいそうだね、トッ... >>