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シュールストロミング解禁
シュールストロミングが解禁になったというので
友人にお願いして、取り寄せてもらいました。
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シュールストロミングはスウェーデンの発酵食品です。
バラエティ番組などで一度は目にしたことがあるのではないかと思うのですが
北欧が生んだ世界一臭いと誉れ高き発酵食品。

一口に言えば「発酵ニシン缶詰」なのですが
発酵か腐敗かは人間の判断によるもので
何が発酵か腐敗かと言われれば
人間に害をなすものが腐敗
益なものが発酵というわけですが
その価値判断も曖昧なもので
簡単に言えば、シュールストロミングの場合は
多くの人が腐敗と断言してはばからないシロモノ。

中には「絶対嫌気性好塩性微生物」が住んでいて
こいつが密閉された缶の中で塩辛いニシンをエサにして
ガスを吐き出し缶詰をパンパンに膨らまします。

そういうわけで缶きりで穴を開けますとお汁がブシュと噴出して
あたり一面に純粋に魚の腐った匂いが充満します。
苦手な人はこの時点で鼻を押さえ
ある人は吐き気を催して退散します。
中は、まだ発酵が進んでいるようで泡がぶくぶくと発しています。

そしてこのせいで日本での流通はおろか輸入が難しのです。
発酵が進むと缶が爆発する危険性があるというのです・・・。
輸入も船便に限るために、お値段は高めです。(5000円)

注意書きには

「におい」が強烈です。
河川敷、広い場所なので開封して下さい。
大勢の人のいるところでは絶対に開封しないで下さい。
化学兵器と誤解されて騒動になる恐れがあります。
必ず戸外の人のいないところで開缶してください。


と物騒なことが書いてあります。
僕は船底で爆発したシュールストロミングを想像してニヤニヤしてしまいますが、
そんな愉快な事件は起こったことないのでしょうか?

このシュールストロミング。
自分ひとりで食べるのはもったいないので会社で開封しました。
(思いっきり約束違反しました)
そんなことをしたら、数週間は匂いが取れないことは予想されるのですが
ちょうど会社のお引越し(ビルの取り壊し)があったので
この日を待ち続けていました。
「さよなら愛するオフィス」ということで、ぶちまけてきました。
引越し業者の人はびっくりするだろうな。
隣が消防署なので、変な騒ぎにならなければいいけれど。

前の会社ではドリアンを皆に試食させ、隣のオフィスの人が
ガス漏れが何かと勘違いして異臭騒ぎになったことがありました。
なにをしているのかというお叱りもあるかと思うのですが
食の冒険家としては、仲間がほしいのです。
つまりさびしいんです。
家では疎ましがられ、外で食べろと言われ
友達を誘っても断られ
残るは上司と部下という立場を悪用し
強制的に食べさせるしかないのです。
「こんな経験できないよ。まあ話の種に食べてみなさい」と。

まあ、今回も同じ手口です。
(タイミングよく社長がいなかったので
社長の机の上にあるプリントにお汁を塗っておきました。)

10名ほど試食したのですが
案のじょうというか、あまり評判はよくありませんでした。
せまいオフィスで缶詰を中心に大きな輪ができました。
しかし、それを美味しいと思う僕にとっては
香りもかぐわしいく食欲をそそるものに思われます。
匂いを受け付けない人にとっては単なる塩辛い食べ物なのかもしれませんが
人間の味覚には5つの要素しかないわけで
数万通りの香りを分別することができ嗅覚は味わいの大部分をしめるわけです。
つまり、シュールストロミングの複雑な美味しさを理解することができるのは
この匂いを愛した者にだけ許された特権なのです。

少し言い訳しますが
焼きソバが好きな人にとってはあの匂いがなんとも言えず食欲をそそるのですが
嫌いな人にとっては相当、強烈でNGな匂いなのだそうです。
シュールストレミングも同じだと言いたいのです。
業務も終了し、引越し準備完了後なので、そんなに罪はないでしょ?
言い訳ですけどね。


その味は言葉だけで説明してもネガティブなイメージが主流です。
匂いを例えるなら、ドブとか生ゴミという言葉が多用されますが
触感はナメクジで、味は塩のカタマリ。その後に口の中に
生ゴミを放りこまれたようだ、と言っている人がいました。
魚が嫌いな人にとってどの魚も同じように感じられるのと同様
嫌いな人に発酵と腐敗の線引きをするのは困難です。
発酵を愛する者にとっては発酵と腐敗の間には実にカラフルな
グラデーションが存在するのです。

時に腐敗すらも魅力的に感じられるようになれば一流です。
僕は腐ったホワイトソースを冷蔵庫に発見し
その匂いがあまりにも魅力的だったので
一口舐めてお腹を下したことがあります。

発酵食を愛する者にとって
腐敗や発酵をもたらす菌の仕業、
それらが作り出す無限の香りはマジックであり
世界に新しい色を発見するほど刺激的なのです。
それは単に腐敗、発酵と切り分けることができない
可能性を持っています。
そして、これまで我々の祖先は腐敗であろうが
発酵であろうが、冒険したはずなのです。
惨敗した人たちもいるだろう。
小さな成功を大きな成果に発展させた人たちもいる。
そして、我々の素晴らしい食文化は彼ら偉人たちの
上に築かれています。

熱くなっておりますが。
とにかく美味いのです。
神秘です。
それがもし美味いと感じたら、
それは代替のきかないなにかです。
ずっと匂いを嗅いでいたいです。

ただし、食べている間は。。。ね。
納豆でも、くさやでも
食欲を満たした後、翌日は
その匂いに鬱々をしますよね。。。
今、僕は爪の間に残る匂いに
オナニーをしすぎた後の後悔にも似た
憂鬱を感じています。


半分残ったので
タッパーに入れて自宅に持ち帰りました。
子供に食べさせるつもりです。
喜んでくれるでしょうか。
(くさやは好物です。)

それから、お汁を寒天のシャーレーに入れて
菌を培養して自前のデジタル顕微鏡で調べたいと思います。
(もし、いい状態で見れたら、子供も喜んでくれると思います)

「人間は、ほら、顕微鏡なんかない時代から
目ではみえないこんな小さな菌類も手懐けて、
美味しい食べ物をつくっているんだよ、かわいいだろ」

こんなふうに言ってあげられたらいいな。
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by radiodays_coma13 | 2009-11-28 01:22 | 食べる事と飲む事
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