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言葉と文化
by radiodays_coma13
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声に恋する
 人を好きになる時、あなたは初めにどこを好きになりますか?あなたにとって一番重要な部分はどこですか?色々な人に質問したことがあります。顔や性格、趣味が同じという人は多いでしょう。または年収という人もいるでしょう。珍しいのでは、手とか、匂い。手の触感と言う人もいました。爪を噛む癖という人と会ったこともあります。でも、意外に「声」という人が多くいるのに驚きました。そういう私も実は「声」はその人を好きになる最も重要な要素のひとつです。

 たまに嫌いな声の持ち主というのと出くわすことがあります。「感情は表に出さない」を日本人的な美徳として育ってきた私にとっても、ある種の声は、妙に感情を逆なでします。それはなにがどう嫌いというのではなく、なにもかもがどうにも嫌いなのであって、非のうちどころがない。「声だけで」と言うかもしれませんが声には実に様々な情報が入っているように思います。僕の女友達に、声だけで濡れるという人がいます。ある特定の波長の声に無条件に濡れてしまうそうです。あ、それ、いいな、と思う。「あ~」とか「う~」とか言ってたら、その人が気持ちよくなってくれる。他にこんな人もいます。声で好きにならることはないけど、声で嫌いになると言う人。欠点はないのに、ある日、その人の声がたまらなく、嫌なものになるというのです。考えるとちょっと怖いです・・・。

 モンゴルにはホーミーという発声法があって、それによって人を治療する人がいる。世界にはホーミーだけでなく声で病を癒す療法士の人が多く存在します。まあ、病と言わなくても、時に歌手の歌声に心癒されることは誰しもありますよね。で、不思議なのは、同じ楽曲でも、歌手によってまったく、その良さが異なるということです。楽曲さえよければ、ヒットするんだみたいな気持ちもどこかにあるんだけれど、やはり、根本的な部分で、人は曲ではなく、「声」を求めているんではないかしら。

 声の良し悪しは声帯の形に由来するんだけれど、それを形成するの遺伝的要素だけではないと思う。その人のライフスタイルや人間構築に大きく起因するに違いない。ワイルドに憧れた20代、750ccバイクに跨って口ひげを生やした大学時代の僕の友人は、10年後、オカマちゃんに転身、野太いダミ声は、甲高いか細い声に変わっていました。もう、あの野太い声は真似ようにも、まったく別モノになっていた。声はその人の健康状態や精神状態すら如実に表す。その人に波長を合わせ、声に聴き入ると、なんとなくその人の状態が見えてくるものだね

 声って水みたいなものだと思う。本来、言葉は体に根付いていたもので、声を身体から切り離すことはできなかった。録音機なんかなかったし、そして、「文字」がなかった。文字が発明されたたかだか数千年ではじめて、言葉は体から切り離すことができた。言葉は体から、沸き出で、空に消えてゆく。山々にそれぞれの水が沸くように、それぞれの体からそれぞれの声が湧き出すというビジョン。「水からの伝言」c0045997_2116566.jpgという興味深い本がある。ちょっと眉ツバなのだが、とにかく面白い。水にある特定の言葉や音楽を見せたり聴かせたり、それを凍らせてその氷の結晶を見ると、実に様々な形の氷の結晶が表れる。「愛してる」という言葉だと、美しい結晶が出来上がり、「死ね」という言葉だと、グチャグチャの結晶になる。真偽はどうあれ、確かに、今まで多くの山に登って名水と言われる水を飲んできたが、水の味は確かに、異なる。もっというと、日本酒は…あっと、お酒の話にそれると長くなるので、とにかくそう感じましたということで…

 なんかね、意味って信用ならんわけですよ。話に本当の真実味を持たせるのは内容ではなく、その人の声質だったりするような気がする。でも、情報化の社会において、質よりも、情報量が重要視されてしまう。「オレオレ詐欺」なんて情報が勝ってしまういい例だと思う。電話が貴重だったあの頃、電気的な沈黙はなによりも多くのことを語ってくれたように思う。「ねえ、泣いているの?」とかね。キャー!恥ずかし。我々はますます、声に関して愚鈍化していく。声の方も変に技法化され、浄水器にかけられた様な味気ないしゃべり方をする人が多い。もっとも恐れるのは、水が汚れることではなく、意味に固執し、良き水を良きことと判断できなくなること。それは、われわれの耳の問題だと思います。
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今日の作品は「Listen」です。

satomune
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by radiodays_coma13 | 2005-02-20 21:22 | 声について
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