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言葉と文化
by radiodays_coma13
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クライ森
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 きた。久しぶりの鬱だ。はははは。体が熱くなったり冷たくなったり忙しい。付き合い方は分かっている。楽しんでいこう。クライ森をさまよい歩くようなもんだ。誰も恐ろしい動物に見える。そっとそっと道を踏み外さないように歩かねば。もし、道に迷ったら、大変だ。今までゆっくり積み重ねたものが台無しになる。平常心平常心。

 ものをつくるというのはどんな健康な精神状態にある日常においても、このクライ森に繰り出すようなものだと思う。少し気を緩めると、クライ森からの帰り方が分からなくなる。だから、あまり健康でない精神状態の時に下手にモノツクリをするべきではないとあれほど言ったのに…。やっちまった。

 モノツクリの仕事、もしくは使命ってそのクライ森の地図を作ることではないかと思っている。普段、人は好き好んでこのクライ森に足を踏み入れようとはしない。ただ、何かの拍子にこのクライ森に迷い込む人がいる。慣れない人はどんどん深みにはまってゆく。そこに来て、自分で地図を作ろうという人もいる。心の闇を見て、突然、表現を開始する人はこれにあたると思う。逆に表現をしすぎて、自ら、クライ森を迷ってしまう人もいる。それから、表現のために、わざわざクライ森の住民になる人もいる。

 でも、いろいろな作品をみていて感じることは、本当に有意義な仕事は、クライ森から柵の中の安全な場所への帰り道を教えてくれることではないだろうか。どれだけ優れた作品かは、どれだけ、クライ森の奥底に光を届かせ、そこからの帰り道を示せるかではないか。しかし、鬱になってみて思うのは、いかに、うわべだけの光が多いことか。深みにいる人間にとって強すぎる光はただの目潰しにしかならない。そこはほとんど、自分の肉体さえ曖昧にしてしまうような完全な闇だからだ。その入り組んだ森の奥底にそっとやさしい光を注ぎいれること。これはなかなか出来ることではない。

 おびえている者にとって、どんなやさしい言葉も、恐ろしい鵺の鳴き声にも等しい。すべての声が自分を責めたてる。しかし、優れた作品は、見ている人、その人の声を借りて語りかける。そして、もっともおそるべき作品もある。それはその人の声を借りて、人を疑心暗鬼に陥れるもの。「やめだ、やめだ!」「バカらしい、もう誰も信じない」。“邪悪”というものが存在する。それは、人がこのクライ森で出会うもっとも恐ろしい影だ。

 森に迷った者は一体、どうやって声を聞き分ければいいのか。邪悪はおびえるものの心に、あまりにたやすく、そして、しっとりと忍び寄る。この状態になった時、僕の場合、とにかく情報を遮断する。闇を直視するのだ。魔物は人の恐怖と創造力を蜜にして成長するという。そこから、ゆっくりと恐怖を取り除けば、闇の中におびえる自分が見える。

 とにかく一度、柵の中へ帰ろう。同じ過ちを何度も繰り返してはダメ。また、ゆっくりとここにくればいいのだから。でも、ここは危険。これ以上、先にいっちゃダメ。帰ってあったかいお風呂にはいろう。それがいやなら、冷たい水で顔を洗おう。それでも億劫なら、ゆっくり歩数を数えながら歩こう。大丈夫大丈夫。もしかしたら、朝の水を美味しいと思えるかもしれないから、もしかしたら、お天気の風を心地よいと思えるかもしれないから。日々の繰り返しを繰り返し丁重に、そっとそっと。

 クライ森でうずくまる人に出会っても、絶対に立ち止まっちゃダメ。もし万が一、彼らと話してしまったら、ここが心地よいだなんて思うようになってしまう。そうやって、ダメになった人もたくさんみてきた。僕がこういう時、ともし火として使っているのは「バッハ」の「マタイ受難曲」アリア「憐れみ給えわが神よ」いつもそう。とてもやさしい。やさしく確かな光。

 「鬱です」と言っても誰も信じてくれない。僕が鬱になるような人種にみえないのだそうだ。僕はいつもちゃらんぽらんで、シリアスじゃなくて、人好きでおしゃべり。そう思われているらしい。これはいろんな人から言われている。でも、ただ一人、昔のものつくりの相方だけが、僕が本当は人嫌いで無口だと言っていた。無口かどうかは別として僕だって落ち込んだりもする。

 よし、足取りにリズムがうまれた。時間をかけてゆっくり浮き上がってゆくしかない。

 そして、クライ森からの手土産。手土産というか作らなければ苦しむこともないけれど・・・。「?」です。テキスト作品です。
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by radiodays_coma13 | 2006-03-26 04:58 | 感覚について
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