誰か、僕に合コンの魅力について説明してくれないでしょうか?僕にはその合コンなるものの、魅力がちっともわからないのです。もちろん、合コン未経験者ではありません。大学の頃はそれなりに新入生歓迎コンパにはじまり、他の学科や他の大学との合コンが毎週どこかで催されていて、それなりに誘われ、それなりに参加もしていました。しかし、僕はただの一度もそういう場で愉快な思いをしたことがないのです。大学も5年生(なんでですかねぇ)になると誘われても行かないか、僕にとって合コンとは、にぎやかな夕食会と化しました。それでも、理解するまでに4年を費やしたことになるのですが…。
まず、その前提がいけない。純粋に機知に富んだ会話を楽しみに行こうとしている者に、男探し、女探しが最終目的の場所でどうやって会話を楽しめと言うのだ。何度か素敵なセッティングの合コンに誘われたこともある。時に演奏家、時にデザイナーやアーティスト、詩人や科学者の合コン。しかし、結果は同じだった。そんなにも面白い人物を集めておいて、見事につまらなかった。みんななにかにとりつかれたように上の空で、ただ、その場で意味を持つのは、男女のまぐあいだけなのだから。「おい、みんな目を覚ませ!君達が普段、命がけでしていることはなんなんだ!」と一人一人のほっぺたにビンタをくれてやりたくなる。
「それでいいんだよ。俺達が一生懸命に何かに打ち込むのも、いい異性に出会うためなんだから、そうだろ?」
さも、当然なように、合コン百戦錬磨の友人が主張する。しかし、待て、百歩譲って、素敵な異性に出会うためだとしても、出会うための出会いはつまらなくないか?出会うために出会いが用意される。確かにね、「一目会ったその日から恋の花咲くこともある」みたいな出会いを欲してはいる。電車の通勤中、もしかしたら、万が一、前の席に座っている、美しい女性が電車を降りようとする僕の腕を掴み「惚れちゃいましたわ」なんて言って来るんじゃないか、時々、ドキドキしてるけどさ。僕はね、豊かな時間が欲しいわけ。もし、万が一の女性がいたら僕は、喉まで出かかった「ヤッホー!」を飲み込み、「お嬢さん、それはいけません、僕はあなたのことをまったくしりません」と言うだろう。そしてちゃんと「じゃあ、今からいろいろと知り合いましょう」と言うだろうけどね。
これはつまりPTSD心的外傷後ストレス障害にちがいなのです。沖縄の大学に行っていた僕は、合コンの進化する以前の原始的形態である沖縄名物ビーチパーティーというものに参加したことがある。ビーチパーティーと言えばなんだか垢抜けたオシャレな遊びのように感じられるが、これはもう、れっきとした原始的な乱痴気騒ぎである。満月の夜、海岸で火を焚いて、歌い踊るわけだ。それはもう、一晩中、気になるあの子や才能豊かな人々と語り明かせると思ってワクワクして参加したのだが、そこで行われたのはオープンな会話などではなく、ヒソヒソニタニタ。男が女の耳元で話すのが炎に照らし出されて、まるで悪魔の儀式みたいなシロモノだった。やがて、一組、二組と暗闇の中に消えてゆく。そして、気になるあの子も、くだらない野郎に口説かれて暗闇に消えた…。僕は一人、炎の前に取り残された。以後、ビーチパーティーには二度と行かなかったし、その女の子とも口をきかなかった。
とかなんとか純粋なことを言うとりますが、実際の僕は、どんな場であれ、男女問わず、口説いて周っているので、合コンとか関係ないわけですよ。合同カンパニーだかゴーゴーコンパだか知りませんが、そんなことをしないと異性も口説けないのかと僕は問いたいわけですよ。そんな改めて、「さあ、どうぞ、みなさん、今宵もじゃんじゃん口説いて参りましょー!」なんて場にいたら口説きにくいやら、話しにくやら。ちょっと、「ねえねえ、どんな仕事してるの~?」と質問しただけで「あ~、この人、口説いてる~、あたしのこと口説いてる~」なんて騒がれたりしたら、みぞおちにパンチをくれてやって気絶した隙に、その場を逃げ去りたくなりますがな。普通に会話がしたいだけなんです。なんなら、いかつい顔して「フ~ア~ユ~!?」でもなんでもいいんです。とにかく会話がしたい。
「日々口説く」
コレです。日々功徳みたいでなんだかアリガタイ宗教家の言葉みたいですが、基本はコレです。愛のオーラです。愛の雪崩です。ナイアガラです。汲めど尽きせぬ愛の泉。いういなれば、コンパはプール。それも、ちゃちなおもちゃのプールです。その場限定の水遊びなの。あのね、だから、つまり、なんです、僕はその場だけの冷たいあの空気が嫌なんです。とかウダウダ言って、本当はコンパに行きたいんでしょとよく言われますが、それは無理です。既婚だしね。もし、コンパに参加したら、奥方様の使いの者に物陰から毒矢を飛ばされて僕は抹殺されます。だから口がさけても、本当は心の底からコンパに出たいなんて言えませっ、あう…無念。